LOAD / METALLICA

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レビュー

メタリカの6枚目のスタジオアルバムにして、今なお賛否両論の問題作。

 

前作の「METALLICA(通称ブラックアルバム)」にてスラッシュメタルからの脱却をなし、ヘヴィネスとグルーブに重きを置くスタイルとなった。本作はそれをさらに推し進め、さらにブルース、カントリーなどのメタル以外のロックジャンルを取り込み、もはや「メタル」というよりは「ロック」と表現したほうが的確であるように思う。

 

ただサウンドについてはより重いサウンドとなっており、チューニングも本作からは全曲半音下げとなっている(半音下げの楽曲自体は以前のアルバムにも収録されている)。こういった変化についてラーズ曰く、「これまでとは違ったことを探索したかった」とのこと。

 

彼らのファッションもその変化を物語っている。これまでは長髪に黒のTシャツ、デニムジャケットや黒のジーパンといった、「いかにも」というメタルバンドスタイルだったが、本作からは彼らは髪を短く切り、シャツにジャケットだったり、ラフな休日スタイルだったりと、メタルそのものからの脱却を図っているかのようである。

 

これらのように、「KILL EM’ ALL」から「…AND JUSTICE FOR ALL」で見せていた要素がほぼ皆無となった本作は、当時のファンを驚かせたことであろう。まだ前作「METALLICA」では元スラッシュメタルバンドという片鱗を見せていたが、本作ではもはや待ったく見られない。この変化を「多様な音楽性を身につけた」とみるか、「商業ロックと成り果てた」とみるかは人それぞれだろう。残念ながら、すっかりなくなった4thまでの要素の復活は、10年以上後の「Death Magnetic」を待たなくてはならない。

 

#1「Ain’t my bitch」はストレートなロックソング。#2「2×4」はグルーブ的ではあるが、リフの音選びはどこと無くモーターヘッドっぽい。同じようにロック色が強い曲は、後半では#10「Wasting My Hate」がある。ここらはまだ前作の延長線上だともいえるが、#3「The House Jack Built」と#4「Until it Sleeps」、#6「Hero of the Day」はジェームスの歌唱方法もそうだし、曲調もオルタナっぽさが前面に押し出している。同じ傾向は後半に向かって続くが、#11「Mama Said」はカントリー色が非常に濃厚である。正直な感想で言うと、どの曲もそれ相応に聞き応えはあるのだが、キラーチューンというととくにこれといったものがないように思う。強いて言うなら#1、#10、#11あたりだろうか。

 

純粋なロックアルバムとしては、本作は非常に味わい深く、完成度の高いものであるといえる。不幸なのは、本作が「メタリカのスタジオアルバム」であるということだ。それさえなければ。手放しで評価できるものである。

 

 

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アルバム情報

リリース:1996/6/4

 

収録曲:
1. Ain’t My Bitch
2. 2×4
3. The House Jack Built
4. Until It Sleeps
5. King Nothing
6. Hero of the Day
7. Bleeding Me
8. Cure
9. Poor Twisted Me
10.Wasting My Hate
11.Mama Said
12.Thorn Within
13.Ronnie
14.The Outlaw Torn

メンバー
James Hetfield – Vo. Gt.
Kirk Hammett – Gt.
Jason Newsted – Ba.
Lars Ulrich – Dr.

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