レビュー
METALLICAが発表した、カバー曲オンリーのコンピレーションアルバムです。
このアルバムが発表された1998年というと、前年に”RELOAD”が発表されており、すでにMETALLICAはメタル界の頂点に君臨するバンドの一つでした。
当然それまでも”RIDE THE LIGHTNING”、”MASTER OF PUPPETS”などの超名盤をリリースし、彼ら自身の楽曲は非常にクオリティが高く、カバー楽曲だけのアルバムをリリースする意義はあまりないように思うかもしれません。
しかし、もともと彼らの歴史はNWOBHMのバンドのカバーから始まっており、結成当初はオリジナル楽曲が少ないためカバー曲を演奏することが多かったとのことです。
(まぁこの辺はどのバンドも同じような事情でしょうけど)
また彼らはカバー楽曲を昔から録音しており、実は1987年の時点ですでに”THE $5.98 E.P – GARAGE DAYS RE-REVISITED“というタイトルで、その名の通りEPですが、一度カバー曲だけの作品をリリースしています。
その上シングルのB面においてカバー曲が収録されていることがよくありました。
例えば”CREEPING DEATH”のシングルにはDIAMOND HEADの”AM I EVIL?“や、BLITZKRIEGの”BLITZKRIEG“が収録されています。
このように、METALLICAとカバー曲というのは切っても切れない関係だということです。
そう言った背景もあり、過去にリリースされた”THE $5.98 E.P – GARAGE DAYS RE-REVISITED“、シングルB面に収録されていた楽曲に加え、新たにレコーディングした11曲を加えてリリースされたのが本作というわけです。
カバーされている楽曲は彼らのルーツであるNWOBHMはもちろん、パンクロック、ロック、、サザンロック、ブルースなど様々なジャンルの楽曲をカバーしています。
称賛すべきは、そう言ったジャンルの違う楽曲をカバーしてもちゃんと”METALLICAの楽曲“になっているところですね。
元の楽曲の良さをちゃんと活かしながらも、彼ら自身の個性もしっかりと見せつけています。
どの曲も元曲知らなければ「METALLICAのオリジナル曲です」で通用するでしょう。
また本作のための新録された楽曲と、すでに過去に収録された曲が一つのアルバムにまとめられていますので(一番古いものだと1984年の”CREEPING DEATH”収録の2曲)、何気にMETALLICAの歴史や変遷を学べる教科書的な作品でもあるように思います。
収録曲
本作は2枚組の作品ですが、収録されている楽曲は以下の通りです。
(斜文字はオリジナルアーティスト名とオリジナル曲の発表年)
DISC 1 (本作のための新録楽曲)
1. Free Speech for the Drumb – DISCHARGE (1982)
2. It’s Electric – DIAMOND HEAD (1980)
3. Sabbra Cadabra – BLACK SABBATH (1973)
4. Turn the Page – BOB SEGER (1973)
5. Die, Die My Daring – MISFITS (1984)
6. Loveman – NICK CAVE AND THE BAD SEEDS (1994)
7. Mercyful Fate (Medley) – MERCYFUL FATE (1982, 1983) ※1
8. Astronommy – Blue Öyster Cult (1974)
9. Whiskey in the Jar – THIN LIZZY (1972) ※2
10. Tuesday’s Gone – LYNYRD SKYNYRD (1973)
11. The More I See – DISCHARGE (1984)
※1 メドレー曲で、構成されているのは”Evil”、”Curse OF The Pharaohs”、”Satan’s Fall”、”Into The Coven”、”A Corpse Without Soul”。
※2 もともとはアイルランドの民謡。1972年にTHIN LIZZYが本曲をアレンジしたものをさらにアレンジしたのが本作品の収録曲。
DISC2(過去に発表した楽曲の再録)
◆”THE $5.98 E.P – GARAGE DAYS RE-REVISITED”より
1. Helpless – DIAMOND HEAD (1980)
2. The Small Hours – HOLOCAUST (1983)
3. The Wait – KILLING JOKE (1980)
4. Crash Course in Brain Surgery – BUDGIE (1974)
5. Last Caress/Green Hell – MISFITS (1980/1983)
◆”CREEPING DEATH”より
6. Am I Evil? – DIAMOND HEAD (1980)
7. Blitzkrieg – BLITZKRIEG (1981)
◆その他シングルのB面より
8. Breadfan – BUDGIE (1973)
9. The Prince – DIAMOND HEAD (1980)
10. Stone Cold Crazy – QUEEN (1974)
11. So What – ANTI-NOWHERE LEAGUE (1981)
12. Killing Time – SWEET SAVAGE (1981)
◆Motörheadache (“Hero of the Day” limited editionより)
13. Overkill – Motörhead (1979)
14. Dame Case – Motörhead (1979)
15. Stone Dead Forever – Motörhead (1979)
16. Too Late Too Late – Motörhead (1979)
アルバム情報
リリース:1998/11/24
レーベル:Elektra
メンバー:
James Hetfield – Vo. Gt.
Kirk Hammett – Gt.
Lars Ulrich – Dr.
Jason Newsted – Ba.
Cliff Burton – Ba. (“Am I Evil?”, “Blitzkrieg”)
地方会社員アラサーメタラー。仕事で溜まった鬱憤をメタルに費やしております。
給料は大体メタルの音源かライブ遠征費用に消えるので、なかなか貯金ができないことが目下の悩み。
その他の趣味はバイクとゲーム(主にFPS)。
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