【レビュー】HELL AWAITS / SLAYER

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解説

今や伝説となったスレイヤーが、そのスレイヤーとしてのスタイルを確立させたアルバムがこの2ndアルバム「Hell Awaits」である。


前作「Show No Mercy」はデビューアルバムでありながら当時のメタル・ブレード・レコーズのトップセールスを飾った。
その結果プロデューサーのブライアン・スレイガルは本作を制作するにあたって予算を確保し(ちなみに前作はスレイヤー自身で予算を確保)、経験豊かなプロデューサーやエンジニアを雇って本作をレコーディングしたとされている。


そうはいってもそれは1980年代中頃の話、今現在の基準で言ったらまだちょっと荒いというか、洗礼され切っていない印象は受ける。
しかし逆にそれが楽曲の邪悪さを助長しており、結果として雰囲気作りに成功しているように思う。


「邪悪さ」といった点で言えば、サウンドプロダクションだけでなく、歌詞もまた特徴的である。歌詞のあちこちに「死」「地獄」などのおどろおどろしい言葉が並び、それがこの極悪サウンドと相まって歌われるわけなので、非常に陰鬱で邪悪な作品に仕上がっており、後のデスメタルに影響を与えている。


前作ではまだまだ「荒っぽいNWOBHM」という領域を抜け切っていない感じがしていたが(これは最初期のスラッシュメタルに共通ではあるけど)、本作ではだいぶ鳴りを潜め、冷酷無比なリフを刻むスタイルは本作を持って確立されたといっても過言ではなく、次作「Reign in Blood」にて洗礼されることになる。


またもう一つ本作の特徴として、スレイヤーの作品としては珍しく長尺の曲が比較的多く見られる。全7曲のアルバムの中で半分近くの3曲が6分超えており、5分超えの曲も一つある。これは当時ジェフ・ハンネマンがマーシフル・フェイトに傾倒したからと言われている。そのため本作はややプログレッシブな展開を見せるアルバムでもある。


#1「HELL AWAITS」 おどろおどろしいギターノイズのフェードインからスタート。このとき俗に「三葉虫」だとか「三条法師」だとか言われる謎の声は「join us」を逆再生しているもの。それが終わるとゆったりと這い上がるようなイントロがスタートし。そこから徐々にスピードアップ。最終的にはこれぞスラッシュメタルという高速リフが繰り広げられる。

#2「KILL AGAIN」ブラックメタル染みたトレモロリフから始まり、ややクラシック・メタル染みたリフが印象的。

#3「AT DAWN THEY SLEEP」 ミドルテンポを主体としているがリフが幾重にも重ねられていると同時に曲中でテンポが頻繁にかわる、本作特有のスレイヤーにしてはプレグレッシブな作風。

#4 「PRAISE OF DEATH」再びのファストチューン。前半はそうでもないが、後半はリフ、ソロともにのちの「ANGEL OF DEATH」を含む、3rdの曲を連想させるフレーズがちらほら聴こえるのは気のせいか?
これまた緩急のついた、バリエーションにとんだ展開を楽しめる曲。
特に最後でギターノイズのみとなってこのまま終わるのかと思ったら再始動しているのは印象的。

#5「NECROPHILIAC」は逆にこのアルバムでは珍しい、終始早く駆け抜けるスレイヤーらしい楽曲。

#6「CRYPTS OF ETERNITY」は不協和音のユニゾンフレーズと複雑な展開から、少しブラックメタル的な雰囲気を感じる。

ラスト#7「HARDENING OF THE ARTERIES」では特にラストだからといって壮大な盛り上がりを見せるといったわけでもなく、これまで通りの「スレイヤーの楽曲」といった内容。
ただし最後は#1のイントロとほとんど同じフレーズとなっていて、それがフェードアウトしてアルバムが終了する。ある種のループを連想させるのが、終わらない地獄の日々を彷彿とさせており、結果本アルバムの「邪悪さ」を決定づけていると言える。

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アルバム情報

リリース:1985/3
*日本語版ウィキペディアでは「1985/9/16」。日本でのリリース日?


収録曲:
1. HELL AWAITS
2. KILL AGAIN
3. AT DAWN THEY SLEEP
4. PRAISE OF DEATH
5. NECROPHILIAC
6. CRYPTS OF ETERNITY
7. HARDENING OF THE ARTERIES


メンバー:
Tom Araya – Ba. Vo.
Jeff Hanneman – Gt.
Kerry King – Gt.
Dave Lombardo – Dr.


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