レビュー
元バトル・ビーストのアントン・カバネン率いる黒き野獣、ビースト・イン・ブラックの2作目。
本作、というより本バンドの特徴としては80年代によく使われたシンセサウンドを惜しげも無く使用されており、一歩間違えると「古臭い」と揶揄されてしまいそうである。ただギターのサウンドがエッジの効いて今風であり、また高い作曲センスによって、古臭さとは全くの無縁、むしろ新鮮とすら感じる。
キャッチーでありながら、それでいてしっかりとメタルの遺伝子が組み込まれている、正統派・もしくはパワーメタルの今年いちばんの傑作と言っても過言ではない1枚。
楽曲解説
1曲目「CRY OUT FOR A HERO」。早くもアントン節が感じられる曲。彼の古巣のBATTLE BEASTの2ndの「LET IT ROAR」をブラッシュアップしたような曲に感じれる。
2曲目「FROM HELL WITH LOVE」。程よくノレるミドルテンポの曲。どちらかというとシンセの音が前面に出ている感じがするが、それでもバックではしっかりとメタル サウンドが支えている。
3曲目「SWEET TRUE LIES」。2曲目のようなシンセを強調したディスコ風の楽曲ではあるが、そこにメタル特有の哀愁というか叙情性が加味されており、メタラーにも非メタラーにも万人に「気分を上げたい時に聴きたい曲」としてお勧めできる。
4曲目「REPENTLESS」。2曲目と3曲目からやや趣を変え、パワーメタル感を前面に押し出した、非常に力強い曲。
5曲目「DIE BY THE BLADE」。こちらもどちらかというと力強さを感じられる楽曲となっているが、サビ以外の部分では80年代後半の邦楽に見られるような(といっても、私は経験していない年代だが)、独特の雰囲気を感じる。
6曲目「OCEANDEEP」。前半はアコースティックサウンドで物静かな雰囲気だが、だが後半に行くにつれて泣きのギターソロが少し入った後、バンドサウンドがいきなり入って非常に雄大に楽曲を盛り上げている。パワフルさと叙情性を融合した完璧なメタルバラード。
7曲目「UNLIMITED SIN」。出だしの雰囲気は5曲目に似ている。始まりを告げるシンセのサウンドから始まるが、メインとなるパートではしっかりとギターのディストーションサウンドが核となっている。
8曲目「TRUE BELIEVER」。これまた80年代を思わせる電子ドラムサウンドが要所要所で使われていたり、キラキラしたシンセサウンドが中核となる楽曲ではあるが、爽やかながらもどこか物悲しさも感じられる曲
9曲目「THIS IS WAR」。今度はギターサウンドの方が前面に押し出された、タイトル通り非常に力強く雄大な楽曲。
10曲目「HEART OF STEEL」。これまた壮大なシンセサウンド始まるが、その後はやや静か。と思ったらサビの部分はパワーメタル 感抜群で非常に力強い。
11曲目「NO SURRENDER」。非常に疾走感溢れるリフであり、これぞアリーナロック、これぞパワーメタルといった曲ではあるが、それに彼ら特有のキラキラしたシンセサウンドがいい塩梅でコーティングされている。本編の最後を締めくくるのにふさわしい楽曲。
12曲目「KILLED BY DEATH」。モーターヘッドの楽曲のカバー。非常に大胆に彼ららしい楽曲へとアレンジされている。
13曲目「NO EASY WAY OUT」。ローバート・テーパーのカバー。もともとシンセのサウンドが古き良き時代のものである彼らにとって、非常にカバーしやすかったのか、原曲の雰囲気自体は感じつつも、アリーナロック調にアレンジされている。
アルバム情報
リリース:2019/2/8
メンバー:
Yannis Paradopoulos – Vo.
Mate Molnar – Ba.
Atte Palokngas – Dr.
Kasperi Heikkinen -Gt.
Anton Kabanen – Gt. Vo.
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地方会社員アラサーメタラー。仕事で溜まった鬱憤をメタルに費やしております。
給料は大体メタルの音源かライブ遠征費用に消えるので、なかなか貯金ができないことが目下の悩み。
その他の趣味はバイクとゲーム(主にFPS)。
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