レビュー
アメリカのスラッシュメタルバンド、TOXIC HOLOCAUSTの6枚目、6年ぶりのアルバム。スラッシュメタル黎明期(メタリカやスレイヤーの1st、ソドムなど)のバンドが現代にタイムスリップしてきたかのような、古き良き雰囲気のアルバムである。
もともとTOXIC HOLOCAUSTはフロントマンのジョエルが全てのパートを一人で録音していた、実質ワンマンバンドであった。しかし2008年頃から自身はベースとボーカルに集中し、他パートは新たにメンバーを集めていた。しかし本作は再度ジョエルが一人で全パートを担当している。
また、本作では全パートの楽器だけでなく、マスタリングもジョエル自身で手掛けている。ジョエルは数々のバンドのマスタリングをこなしており、その経験を本アルバムに注ぎ込んでいる。サウンドそのものは一瞬「狙って古っぽいサウンドにしているのか?」と思ったが、よく聞くと音の輪郭やバランスが非常に整っていることがわかる。やはり元々ドラムから始めたからなのか、ドラムサウンドのキレの良さが引き立っている。
新旧問わず、スラッシャーには是非とも聞いてほしい1枚。
おすすめ楽曲
1.「CHEMICAL WARLORDS」
余計な前奏なく、いきなりスラッシーなリフをぶちこんでくる。ソロの前の転調や、アウトロなんかはそれこそメタリカの「Kill’ Em All」のようである。
3.「NEW WORLD BEYOND」
1、2曲目よりもテンポを落とし、重戦車のように突き進む曲。
4.「DEAFENED BY THE ROAD」
リフ、そして余計なことをせずに短くまとめているところなど。ハードコア・パンクの影響が色濃くでた、非常に攻撃的な楽曲。
6.「PRIMAL FUTURE」
ミドルテンポの楽曲であるが、その分サウンドが重く、本アルバムの中でもっともヘヴィネスな楽曲。
7.「IRON CAGE」
出だしから非常にパンキッシュなリフをかましてくる、非常にノリのいい曲。
10.「CYBERNETIC」
NWOBHM色が色濃く出ている。リフだけ聞いているとアイアンメイデンっぽいし、曲中盤のソロとその前なんかはプリーストっぽさも感じる。アウトロのキーボードパートも特徴的で、これがあることでただの「懐古主義」的なアルバムではなくなっている。
アルバム情報
リリース:2019/10/23
メンバー:
Joel Grind – All part and Mixing
楽曲リスト:
1.「CHEMICAL WARLORDS」
2.「BLACK OUT THE CODE」
3.「NEW WORLD BEYOND」
4.「DEAFENED BY THE ROAD」
5.「TIME’S EDGE」
6.「PRIMAL FUTURE」
7.「IRON CAGE」
8.「CONTROLLED BY FEAR」
9.「AFTERMATH」
10.「CYBERNETIC WAR」
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地方会社員アラサーメタラー。仕事で溜まった鬱憤をメタルに費やしております。
給料は大体メタルの音源かライブ遠征費用に消えるので、なかなか貯金ができないことが目下の悩み。
その他の趣味はバイクとゲーム(主にFPS)。
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