【レビュー】HUMAN :‖: NATURE / NIGHTWISH

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レビュー

フィンランド出身、シンフォニック・メタルの中心的存在、ナイトウィッシュの9枚目のスタジオアルバム。前回のアルバムリリース後に小休止したのと、ボーカルのフロール・ヤンセンの妊娠、出産があったこともあり、実に5年ぶりの新作となる。

本作は2枚組の作品となっているが、それぞれ本作のタイトルである「人」と「自然」でテーマを分けている。1枚目は「人」に該当し、従来のナイトウィッシュのようなシンフォニックメタル。前作に比べると少しダークでゴシックな感じが強くなっているように思う。2枚目が「自然」に該当し、全曲フルオーケストラとなっている。



「人と自然」というテーマだけなら1枚のアルバムでも表現自体は可能ではあるが、明確に2枚に分けていることでそのコンセプトが非常に明確になっている。それでいて別のアルバムとせずに1組としていることで、人の営みもまた自然の一つというメッセージも内包しているかのように思う。前作「Endless Forms Most Beautiful」も生命の進化を題材にした壮大なアルバムであったが、それをさらに一歩押し進めている本アルバムはまさに前作からの正統進化であると言える。


DISC 1

#1「MUSIC」は静かで幻想的なイントロから始まり、ナイトウィッシュらしい荘厳さはありつつもゆったりと優しい雰囲気。しかし中盤から終盤にかけてはしっかりと盛り上がりをみせる。その盛り上がりを維持したまま、シックでややゴシック感のある#2「NOISE」へ。#3「SHOEMAKER」はより一層ダークでパワフルとなるが、終盤のオーケストラとフロールのソプラノボイスによる壮大な展開は必聴。

ここまで壮大な盛り上がりを見せていたが、#4「HARVEST」は牧歌的な内容。メインボーカルはトロイとなり、序盤はパーカッションとアコギ、ピアノの柔らかな雰囲気、その後はディストーションギターが入ると同時にバグパイプの音色も加わり賑やかな雰囲気へと変化。#5「PAN」はそこから一点。再びバンドディストーションギターを主軸としたパワフルな楽曲、中盤にゴスペル的な合唱もあり全体的な雰囲気こそやはり暗くゴシックな感じがするが、表情豊かな大作。

#6「HOW’S THE HEART?」は再びバグパイプ始め北欧のフォークっぽい雰囲気、牧歌的な雰囲気はありつつもフロールのボーカルがフィーチャーされるような壮大さもある曲。#7「PROCESSION」は優しくも、どこか切なさを感じるメロディ。歌詞の内容は、他の楽曲が人の営みに焦点を置いている中、自然讃歌であると感じる。「人からみた」自然ということだろうか? #8「TRIBAL」はラストへと続く、力強いドラミングを基調とした雄々しい楽曲。そこからラスト#9「ENDLESSNESS」へと続く。曲のパートによって禍々しさ、優しさ、荘厳さとその印象を変えていく、オペラ的で壮麗な楽曲。歌詞の内容とともに、聴きようによってはDISC2へのプレリュードと捉えることもできる。

DISC 2

「ALL THE WORKS OF NATURE WHICH ADORN THE WORLD」というタイトルの組曲で構成されている。時折重々しい雰囲気はありつつも、全体的には優しく暖かみがあり、自然の豊かさを称えるような印象。

#1「VISTA」アナウンスが流れたあと、チェロや他ストリングスを主軸とした、優しく暖かな曲。木漏れ日の射す、森の入り口のような感じ。#2「THE BLUE」でやや暗い雰囲気となり、まるで森の奥深くに入ったかのよう。その後#3「THE GREEN」はまたややゆったりとした雰囲気、森の奥の泉あたりだろうか??#4「MOORS」は#3の延長線上だが、笛の音色が入ることで、どこか開けた場所に出たような印象。時折不安を煽るような雰囲気があるのは、雨でもふったのだろうか?その後また戻ったと思ったら、ピアノも足されて、空間的な広がりを感じる。#5「AURORAE」はちょっとスリリングな感じ。前半に比べると殺風景。#6「QUIET AS THE」はまた静かな雰囲気へと。一挙に深海に入ったかのよう。#7「ANTHROPOCENE」は激しさこそ無いものの、より重厚な空気に。そこから2と同じテーマが出てくるので、そこに戻ってきたのだろうか?少しの間を開けたあと、ラスト#8「AD ASTRA」。#1のように語り部のセリフが入り、本作の総集編。優しく包み込むような曲調ながらも、最後はしっかりと壮大な盛り上がりを見せて幕を下ろす。


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アルバム情報

リリース:2020/4/10


収録曲:
DISC 1
1. MUSIC
2. NOISE
3. SHOEMAKER
4. HARVEST
5. PAN
6. HOW’S THE HEART?
7. PROCESSION
8. TRIBAL
9. ENDLESSNESS


DISC 2
10. ALL THE WORKS OF NATURE WHICH ADORN THE WORLD
Ⅰ. VISTA
Ⅱ. THE BLUE
Ⅲ. THE GREEN
Ⅳ. MOORS
Ⅴ. AURORAE
Ⅵ. QUIET AS THE SHOW
Ⅶ. ANTHROPOCNE (INCL. “HURRIAN HYMN TO NIKKAL”)
Ⅷ. AD ASTRA


メンバー:
Floor Jansen – Vo.
Emppu Vurinen – Gt.
Marco Hietala – Ba. Vo.(#9), acoustic gt.
Kai Hahto – Dr.
Tuomas Holopainen – Key. piano
Troy Donockley – Uilieann pipes, Vo.(#4), bouzouki , bodhran, aerophone, Gt.


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