レビュー
メタリカを解雇されたデイブ・ムステインが、「打倒メタリカ」を目指し立ち上げたバンド、メガデス。こちらも名前を聞いて知らない人のほうが逆に少ないであろう、ビッグバンドである。スラッシュメタル界のBIG4として、一度デイブの病気のため解散はしたものの見事に復活し、今なお精力的に活動している。その記念すべき最初のアルバムがこの「Killing is My Business…and Business is Good!!」である。
内容はメタリカを解雇され、さらに勝手に自身のアイデアを使われたメタリカに対するデイブの怒りがそのままサウンドに現れているかのような、非常に荒々しく、ファストで、攻撃的である。ただそれだけではく、後にデイブが自身の音楽について言及した「インテレクチュアル・スラッシュメタル」の成分がすでに含まれているように感じる。つまり勢いはありつつも非常にテクニカルで変化に富んだギターリフがこれでもかと濃縮されており、おかげで曲調そのものは一貫しているものの、聞いていて飽きの来ない1枚である。
本作はいくつかのバージョン違いがある。1985年にコンバット レコーズからリリースされたオリジナル版。一旦オリジナル版に収録されたもの、あまりに下品ということで削除された「These Boots」を規制音つきで再録しし、デモ音源を追加した2002年版。そしてその規制音も取っ払い、ライブ音源も追加された2018年版「Killing is My Business…and Business is Good!! The Final Kill」。しかもそれぞれジャケットが異なる。
楽曲解説
私が持っているのは2002年版なので、以下曲順などもそれに基づいてレビューする。
1曲目静かなピアノの伴奏とギターソロで始まり、その後一気に加速して聴きてを惹きつける「LAST RITES/LOVED TO DETH」。
2曲目「KILLING IS MY BUSINESS…AND BUSINESS IS GOOD!!」も出だしはミドルテンポだが、後半に連れて勢いが増していき最後は一気に駆け抜ける。
3曲目「THE SKULL BENEATH THE SKIN」はややテンポを落としつつも、勢いそのものは殺さず次の4曲目「RATTLEHEAD」へと繋ぐ。この曲ははこのアルバムの中では割とシンプルで勢いのある曲である。それでいて後半の盛り上がりは素晴らしい。
5曲目「CHOSEN ONES」は、所々NWOBHMの要素を感じさせつつも、これまたこのアルバムらしく疾走感に溢れる曲。
6曲目「LOOKING DOWN THE CROSS」は珍しくややヘヴィネスにおいた曲…かと思いきや、これまた曲の中盤にはまたもテンポアップして非常にスラッシーな曲となる。
そして7曲目「MECHANIX」はご存知メタリカの「The Four Horsemen」の本来の姿。メタリカ版は跳ねるようなリズムと中盤の物静かなパートが印象的だが、こちらは只々非常に早く一気に駆け抜けるような楽曲となっている。
8曲目「THESE BOOTS」は「THES BOOTS ARE MADE FOR WALKIN’」という元曲があるが、先に書いた理由により削除されてしまった曲。曲調自体はこのアルバムらしい
まだメガデス特有の独特なリフ展開が十分に備わっている訳ではないのだが、若さとメタリカに対する復讐心による非常にキレのある1枚。ただ1枚目にして後の作品と比べると洗礼されていない代わりに勢いがあるという点では、皮肉にもメタリカの「KILL ‘EM ALL」と同じような立ち位置のアルバムと言えるのかもしれない。
アルバム情報
収録曲(2002年版準規)
1.LAST RITES/LOVED TO DETH
2.KILLING IS MY BUSINESS…AND BUSINESS IS GOOD!!
3.THE SKULL BENEATH THE SKIN
4.RATTLEHEAD
5.CHOSEN ONES
6.LOOKING DOWN THE CROSS
7.MECHANIX
8.THESE BOOTS
(8曲目の「THESE BOOTS」はオリジナル版では4曲目)
メンバー
Dve Mustaine – Gt.Vo.
Chris Poland – Gt.
David Ellefson – Ba.
Gar Samuelson – Dr.
関連動画
※下記動画は2018年版のもの
地方会社員アラサーメタラー。仕事で溜まった鬱憤をメタルに費やしております。
給料は大体メタルの音源かライブ遠征費用に消えるので、なかなか貯金ができないことが目下の悩み。
その他の趣味はバイクとゲーム(主にFPS)。
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