EXTREME POWER METAL / DRAGONFORCE

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レビュー

ドラゴンフォースの通算8枚目のアルバム。

 

5枚目「THE POWER WITHIN」、6枚目「MAXIMUM OVERLOAD」と名盤を立て続けにリリースしてきた彼らだったが、その反動か前作7枚目「REACHING INTO INFINITY」は確かにいいアルバムではあったのだけれど、正直どことなく印象が薄いように感じた。

 

さて本作はどうだろうか?

 

まずジャケット。非常に強烈だ。完全にコミックバンドだ。昔のアメコミか、同じく昔のゲームのパッケージのようだ。

 

そして肝心の楽曲だが、1曲目にて非常に焦らしてくる。いつものドラフォが早く聴きたいという気持ちが最高潮に達したところで、これまでの彼らのような高速スピードメタルが帰ってくる。そしてアルバム全体で見ると、「ドラゴンフォースらしら」にあふれたアルバムだったと思うだろう。ただ当然彼らも進化している。これまでもいくらかゲーム音楽やゲームサウンドにフィーチャーした作品はいくつかあり、直近で言えば「MAXIMUM OVERLOAD」がそうであろう。だが本作はそれを軽々凌駕し、もはや前面に押し出してきて、ジャケットにも書かれたレトロフィーチャー感を醸し出している。

 

きわめつけはタイトルだ。「EXTREME POWER METAL」。ただのパワーメタルにとどまらず、それを極限まで極めるということだろうか。

 

総じていうと、本作はコンセプトが非常にわかりやすく、一貫している。それでいてインパクトに残る。そう行った意味で言えば、前作で感じた「印象の薄さ」を克服した作品と言えるかもしれない。

 

なお、本作の前にキーボードのキーボードのヴァディム・プラツァノフが脱退している。そして本作発表後、ベースのフレデリク・ルクレールが脱退している。果たして彼らの後任を無事見つけることができるのか、そして今後どのように変化していくのだろうか。今作の出来も踏まえて、早くも次作が楽しみである。

 

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楽曲解説

1.「HIGHWAY TO OBLIVION」
始まりは物静かで、情景としては朝日が昇っていくような感じ。そこからスピードアップ。ただそのスピード自体はやはりドラフォらしくそこそこ早いのだが、このオープニングの雰囲気をそのまま殺さず最後まで持っていっているので、まさにタイトル通りハイウェイを走っているかのような爽やかさが曲全体にあふれている。曲中盤のちょっと静かなパートは直近の過去作の影響を少し感じる。

 

2.「COSMIC POWER OF THE INFINITE SHRED MACHINE」
さっきの曲よりわかりやすい疾走系…かと思いきや、クラブ系のシンセソロが長めに用意されている。まさかギターソロがない曲なのか?と心配していたら、そこは定番のドラフォらしいギターが聞こえきて一安心。ちょっと直近のドラフォでは見られない曲かも。

 

3.「THE LAST DRAGONBORN」
イントロや曲の節々の琴が使われており、ドラフォの音楽性を殺さない程度に和風テイスト(というより東洋全般?)が加えられている。メロディラインは所々歌謡曲っぽくあり、また曲のスピード自体も抑えられている。しかしこれは余談だが、前半のジャケットもそうだったし、今作のジャケットに描かれてもいるが、彼らにとってドラゴンは東洋版らしい。何かインスピレーションを受けるものがあったのだろうか?

 

4.「HEART DEMOLITION」
PVの影響かもしれないが、イントロが思いっきり1990年前後のアーケードゲーム。だけどサビの部分はキラキラしたシンセサウンドと絶妙な歌メロにより、どことなくBEAST IN BLACKぽさを感じる。

 

5.「TROOPERS OF THE STARS」
強力なベースサウンドで始まる曲。「INHUMAN RAMPAGE」の頃のような快速、いや爆速のフルスロットルナンバー。ただギターソロが非常にダイナミックかつドラマティックになっていることを思えば、彼らの成長が見られる曲かもしれない。

 

6.「RASORBLADE MELTDOWN」
前曲に負けず劣らずの超爆速ナンバー。哀愁漂うボーカルラインの下で唸る爆速ドラムと超高速ギターフレーズにより、これぞドラゴンフォースと言える曲。

 

7.「STRANGERS」
この曲も90年代を思わせる哀愁漂うシンセサウンドが特徴的。

 

8.「IN A SKYFORGED DREAM」
再度フルスロットルのドラゴンフォースらしい曲。しかしギターソロももちろん高速なのだが、その中に叙情性ももたらすのはさすが。

 

9.「REMEMBRANCE DRY」
行進曲のようにゆったりと、それでいて軽快な曲で、歌メロも合唱向き。いかにもアルバムのラストの曲といった感じ…かと思いきや、この後もう1曲(日本語版ならさらにもう1曲)ある。

 

10。「MY HEART WILL GO ON」
さっきの曲がラストっぽく感じるが、そこからアナログのゲームサウンドを使った静かなイントロ、さらにそれからのフルスロットルとなり、なんだかライブのアンコールみたいである。

 

11.「BEHIND THE MIRROR OF DEATH」 *日本版ボーナストラック
どことなくゴシックっぽい歌メロ、そしてギターソロ。展開はこちらの方がやや単調かもしれないが、聴いた感想としては6枚目のアルバムに収録されている「SYMPHONY OF THE NIGHT」の系列。正直このアルバムの中で一番好き。

 

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アルバム情報

リリース:2019/9/25

メンバー:
Marc Hudson – Vo.
Herman Li – Gt.
Sam Totman – Gt.
Frederic Leclercq – Ba.
Gee Anzalone – Dr.

*なお、キーボードはEpicaのCoen Janssenがサポートしている。

 

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