FASCINATING VIOLENCE / GYZE

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レビュー

日本のメロディック・デスメタルバンド、GYZEの1stアルバム。

 

GYZEは北海道にて、ギター・ボーカルのRyojiとその弟、Shujiが前身となるバンド、SUICIDE HEAVENの結成がきっかけ。その後2011年の東日本大震災を機にバンド名を今のGYZEに変えている。その後ベースのArutaが2013年に加入。長らく続くメンバーが揃うことになる。

 

2013年にイタリアのメロデスバンド、Disarmonia Mundiのメンバー、Ettore Rigottiと出会ったことで、彼らの1stアルバムの作成がスタート。そしてEttoreがオーナーのイタリアのレーベル、Coroner Recordsよりリリースされたのが本作である。日本出身の日本人バンドでありながら、先に世界デビューを果たし、その後日本に逆輸入という形となった、衝撃的なデビューであった。なお、国内版はビクターエンターテイメントよりリリースされている。

 

アルバムの内容について話を移すと、非常に完成されたメロデスアルバムと評価できる。ギターサウンドは最近のトレンドの、エッジが効いていてドライな感じ。曲の雰囲気もAt the Gatesや初期In Flamesのような、退廃的で憂鬱的な感じでは無く、もっとモダンで勢いがあふれる感じである。アメリカ市場を意識したあとのChildren of Bodomが近いだろうか?ただしそこに日本人らしい美しいメロディが加わることで、個性的なアルバムとなっている。直近の「Asian Chaos」とか、それの1個前の「Northern Hell Song」のように、強烈に「和」を感じるわけではないが、それでも日本人独特の感性が存分に活かされたアルバムと言えよう。

 

 

#1「DESIRE」にていきなりその個性が炸裂しており、勢いありつつも叙情的なメロディを聴かせる。その後の#2「DESPERATELY」でもその勢いをしっかりと保っている。#3「FASCINATING VIOLENCE」ではストリングス、ピアノのサウンドを巧みに使っており、独特の物悲しげな感じを演出している。#4「REGAIN」は疾走系のナンバー。V系っぽいクリーンボーカルが前面に押し出ている形で、今となっては珍しい曲かも。#5「TRASH  MY ENEMY」も引き続き、というかより勢いを増した疾走系ナンバー。その後の#6「A DYNASTY」はヘヴィながらも、サビのパートでは逆にボーカルも含めて爽やかな感じとなり、その対比が特徴的。#7「FINAL REVENGE」は高揚感あるイントロからの疾走系のリフ。そして所々の軽やかなメロディと聴きどころ満点。#8「TRIGGER OF THE ANGER」はかなり攻撃的なナンバーだが、やはりギターソロはその対極ともいえるメロディアスさ。#9「DAY OF THE FUNERAL」は静かな出だしからのトップギア。そこからスピードはそのままに、裏でギターの奏でる美しいメロディが印象的、そこから引き続き疾走系ナンバーの#10「MIDNIGHT DARKNESS」を挟み、最後静かな#11「THE BLACK ERA」にて余韻を残して終わっている。

 

なお最近(2020年1月時点)ではそれほどでもないが、この当時はV系も意識していたようだ。メンバーの写真を見てもその通りだし、本アルバムの楽曲にいくつかあるクリーンボーカルもV系の歌い方である。そちら方面が苦手な人は苦手かもしれないが、それで聴かないのはもったいない良質のメロデスアルバムなので、ぜひとも聴いていただきたい。

 

 

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アルバム情報

リリース:2013/4/6(日本版は2014/3/9)

 

楽曲:
1. DESIRE
2. DESPERATELY
3. FASCINATING VIOLENCE
4. REGAIN
5. TRASH  MY ENEMY
6. A DYNASTY
7. FINAL REVENGE
8. TRIGGER OF THE ANGER
9. DAY OF THE FUNERAL
10. MIDNIGHT DARKNESS
11.THE BLACK ERA
12.FUTURE TERROR(日本版ボーナストラック)
13.LAST INSANITY(日本版ボーナストラック)

 

メンバー:
Ryoji – Gt. Vo. Key
Shuji – Dr.
Aruta – Ba. Vo.

 

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