レビュー
イギリス、バーミンガム出身のエクストリームメタルバンド、ANAAL NATHRAKHの2年ぶり、11枚目のスタジオアルバム。
このバンドはブラックメタルをベースに、グラインドコア、デスメタル、インダストリアルメタルなどのエクストリーム系の様々なジャンルの要素取り入れた過激かつ魅力的な音楽性です。
あえてジャンルをつけるなら、インダストリアル・ブラッケンドデスメタル?
う〜ん・・・それでもパッとしない・・・
まぁそれだけ複雑な音楽性ってことでご勘弁を(汗)
で、肝心の本アルバムの感想ですが、前回の”A NEW KIND OF HORROR”と聴き比べるとかなりメロディアスになっている感じですね。
もともとこのバンドはブラックメタルがベースになっていますし、今もその影響はしっかりと残っていますのでブラックメタル的な荘厳なメロディは十分あったんですが、今回のアルバムは聴き終わった後によりメロディアスなフレーズが印象に残った感じでした。
ボーカルもクリーンで歌っているパートが多いように感じましたね。
ただ確かに印象に残ったのはメロディアスな部分だったのですが、だからといって前作までのグラインドコアゆずりのゴリゴリとしたリフや攻撃的な様子はそのまま持っていますので、前作までのファンも期待して購入できるのではと思います。
1曲目のタイトル曲”ENDARKENMENT“はしょっぱなからブラストビートで吹っ飛ばしてくる、いかにも彼ららしいブラックメタル系疾走ナンバー。
ただ楽曲終盤のギターのユニゾンのさせ方はちょっとメロスピっぽいかも?
ちょっとだけだけど。
2曲目”THUS, ALWAYS, TO TYRANTS“も疾走系ナンバーではあるが、こちらははっきりとグラインドコア系統が強く出ている楽曲で、ひたすらゴリゴリとしたリフが堪能できます。
3曲目の”THE AGE OF STARLIGHT ENDS“も出だしは2曲目と同じような感じだったのですが、そこからよりメロディアスな感じへと発展していきます。中盤あたりはまだブラックメタル系統かな?という感じですが、その後になかなかメロウで哀愁のあるフレーズが入ってきます。
ダークな中に少し明るさが感じられますね。
4曲目”LIBIDINOUS (A PIG WITH COCKS IN ITS EYES)“も同じく、グラインドコアの過激さ、ブラックメタルの荘厳さの中にどこか聴きやすい感じがありますね。
終盤あたりはパワーメタル系の楽曲に出てきそうな感じです。
5曲目”BEYOND WORDS“はこれぞブラックメタル、もしくはブラッケンドデスメタルといった内容で、トレモロリフを前面に押し出して、ヴィトリオールもこの曲ではクリーンを封印してひたすらシャウト、グロウルに徹しています。
6曲目”FEEDING THE DEATH MACHINE“もブラックメタル系のトレモロリフですが、メロディラインやギターソロはむしろ正統派メタルっぽいですね。
サビの部分も過激ながらもリードギターはちょっと爽やかさすら感じるメロディです。
7曲目”CREATE ART THOUGH THE WORLD MAY PERISH“もサビの部分は完全にパワーメタルといった感じ。
海外のライブとかフェスだったら絶対サビのところで合唱が起きるでしょって雰囲気です。
ただそれ以外の部分はブラックメタル+グラインドコアの彼ららしさがしっかりと感じられます。
エクストリームメタルの各ジャンルを一堂に集めたような楽曲ですね。
8曲目”SINGULARITY“も彼ら特有のブラックメタル、グラインドコア系統をミックスしたような攻撃的なリフが奏でられますが、サビの部分はやはりなかなか哀愁のある疾走系なパートとなっています。
9曲目”PUNISH THEM“。トレモロリフを織り交ぜながら進む過激なリフから流れるようにメロディアスなパートへ。
ブラックメタルとパワーメタルを1曲の中で交互に聞いているかのような感じなのですが、つなぎ目がものすごく自然で、それこそ大きく曲調が変わってプログレ時見ている見ないなことがないです。
曲調は変わっても主軸は1本しっかりとあるので全然違和感ないです。
10曲目”REQUIEM“。荘厳なシンセサウンドをバックにしながら過激で攻撃的なリフを終始繰り広げていきますが、後半からは一転してや非常に叙情的でゆったりとしたフレーズが展開され、それがフェードアウトして本作が終了。
パートによってはキャッチーで、かなり聴きやすいメロディを主軸にしていますが、それを取り入れてもなお過激さや攻撃さが衰退したとは口が裂けても言えない本作。
彼らの音楽センスがまた1段階上がったと素直に評価できる内容です。
アルバム情報
リリース: 2020/ 10 / 2
レーベル:METAL BALDE RECORDS
メンバー:
V. I. T. R. I. O. L(Dave hunt) – Vo.
Mick Kenney – Gt.
地方会社員アラサーメタラー。仕事で溜まった鬱憤をメタルに費やしております。
給料は大体メタルの音源かライブ遠征費用に消えるので、なかなか貯金ができないことが目下の悩み。
その他の趣味はバイクとゲーム(主にFPS)。
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