【レビュー】BABYMETAL / BABYMETAL

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レビュー

活動開始から10周年を迎えるメタル界の異端児、”BABYMETAL“の記念すべき1stアルバム。


このアルバムが発表されるまでの経緯を少しお話ししますと、もともとBABYMETALは2010年に”さくら学院”という義務教育期間限定の女性(というより女子?女児?)アイドルグループの派生ユニット”さくら学院 重音部”として誕生しました。


その後地道に活動を重ね、2012年には史上最年少でサマーソニックに出演を果たし、さらに初のワンマンライブを実施します。

翌2013年位にはワンマンライブツアーに加えてさまざまなロックフェスへと出演してきますが、転機となったのは2年連続出演となったサマーソニックにて、あのメタル界の大御所METALLICAとフォト・セッションを実施。
これがMETALLICAのTwitterにて発信され、海外のメタル・ヘッズたちにも広く知れ渡るようになります。
(ただし、ネット界隈では1stシングルの「ド・キ・ド・キ⭐︎モーニング」の時点で海外でも密かに話題となっていたようです)

そして同年ついに国内最大級のメタルの祭典、”LOUD PARK”へと出演を果たし、当初非常にアウェーな状態だったところを見事に成功させました。

この他にも海外のライブイベントへの参加、日本の音楽番組への出演など、ノリに乗った状況の中で満を辞して2014年に発表された1stアルバムがこの”BABYMETAL“です。

国内ではオリコンの週間ランキングで最高4位を記録しました。
海外では当初デジタル配信のみでしたが、それでもアメリカのビルボードにて187位を記録、iTunes Storeの各国メタルアルバムチャートにて1位を獲得します。






さて、感じの作風はといいますと、従来のヘヴィメタルとジュニアアイドルとしての可愛さ、ポップさをどちらも妥協することなく注ぎ込んでおり、それが喧嘩することなく不思議と共存して、一言では説明しきれない化学反応を起こしております。



まず1曲目の”BABYMETAL DEATH“からして、従来のアイドル像とはかけ離れた本格的なヘヴィサウンドが繰り広げられますが、その合間に入っているメンバーの自己紹介の声は10代前半の女の子そのまま。
これがなければどこぞのメタルバンドのインスト曲ですと言われても納得できるんですが、そこに彼女らの声が加わることでなんとも言えない不思議さが、早くもこのグループの本質を体現しています。

2曲目”メギツネ“は和風テイストながらLOW-Bの重低音を轟かせるナンバー。
ただ今時の電子サウンドもちょいちょい含まれており、少しピコリーモテイストもありますね。
でも先述の和風テイスト、およびSU-METALの歌唱によって、「メタルではあるが、既存のどのメタルとも違う」という独自性を感じる楽曲です。

3曲目”ギミチョコ!!“も引き続きイントロは非常に重たいサウンドですが、そこに入ってくるYUI-METALとMOA-METALの掛け声がこれまた絶妙にアクセントとなっています。
そしてサビの部分はやや爽やかめ、そしてなんだかボーカルラインはちょっとテクノっぽいというか、Perfumeっぽい感じもしますね。

4曲目”いいね!“はメタルサウンドがベースとはなっていますが、ノリは完全にダンスミュージック。
アップテンポで非常にノリのいい楽曲となっており、メタル要素の方がおまけって感じですね。

5曲目”紅月-アカツキ-“はイントロから曲の展開、ボーカルラインまで完全にX JAPAN。
この曲はYUIMETAL とMOAMETALの掛け声は入っておらず、純粋にSU-METALの歌唱力を堪能できる楽曲となっています。
完全に異なる純粋なメロディ重視のメタルナンバーとなっており、さっきの4曲目から非常に対照的な楽曲です。

6曲目は記念すべきデビュー曲、”ド・キ・ド・キ⭐︎モーニング“。
この曲じつは私もデビュー当初に一度聞いていたのですが、その衝撃はある意味凄まじく、「・・・え?」と脳が理解を拒んでましたね(笑)
一応イントロやサウンドはメタルっぽいですが、なんだかポップな電子音も聞こえているし、何よりボーカルは全然メタルとはかけ離れた10代の女の子は普通に(グロウルはもちろんハイトーンボイスもなく)歌っているので、「これはメタルなんだろうか?」と悩みました。
ただし、それが逆に彼女らの存在を意識するようになり、繰り返し聴くようになることで結局虜となっていくわけですね。
いやはや、実に巧妙・・・

7曲目”おねだり大作戦“は5曲目とは逆にYUI-METALとMOA-METALのみの楽曲。
この2名が歌っていたり、ライブではメインになることは珍しいので、この二人のファンなら必聴。
SU-METALよりもっと幼い、というか幼さをより強調してんじゃないかという二人の歌声は中毒性はあります。
ただ・・・ちょっと人前で聴くには勇気のある楽曲です。
(突然パパのお嫁さんになるとかいうし・・・)

8曲目”4の歌“も引き続きYUIMETALとMOAMETALメインの楽曲。
ちなみに、SU-METALを抜いたこの2名のみのときは当初”BLACK BABYMETAL“とライブでは呼称されていました。
ただYUI-METAL在籍時末期には聞かなくなったような気が・・・ちょっとうろ覚えですけど・・・
ギターバッキングがまんまMETALLICAの”MASTER OF PUPPETS”なのがメタラー的にポイント高いんです。
あと、歌詞自体もこの二人が原案だそうですね。

9曲目”ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト“は”いいね“のダンスミュージック部分を抑えて、メタル要素を強めにしたような曲。
歌詞の「あげぽよ」が今となっては時代を感じますねぇ。

10曲目”Catch me if you can“は、個人的に”BABYMETAL要素全部載せ”な楽曲なんじゃないかと思っています。
ヘヴィなバッキング、そこに加わるYUI-METALとMOA-METALの掛け合い、そしてサビSU-METALの伸びるような歌声、歌詞は可愛らしい感じと、BABYMETALのあらゆる要素が見受けられます。

11曲目”悪夢の輪舞曲“は再びSU-METALのソロ曲。
ただし5曲目の”紅月-アカツキ”とは違って、こちらはコテコテのジェントとなっています。
ボーカルラインやサビの部分は確かに輪舞曲のような感じですが、完全にジェントです。
非常に複雑なリズムをしっかりキープし、そしてこれまど違った少しシリアスな歌唱と、SU-METALがただのアイドルではない非常に高い技量を持っていることがわかる曲です。

12曲目”ヘドバンギャー!!“。
「15(いちご)の夜」とか尾崎豊を連想させるような歌詞がありますが、楽曲自体はかなりストレートなメタルナンバーですね。
ただサビのちょっとセンチメンタルなフレーズはなんだか90年代っぽい感じはします。
楽曲中の「ヘドバン!ヘドバン!」でヘドバンというか土下座ヘドバンするのもライブ恒例。

ラストを飾る”イジメ、ダメ、ゼッタイ”はタイトルに騙されることなかれ、ボーカルがクリーンボイスなことを除けば完璧なメロデス楽曲です。
(それはメロデスといえるのかというツッコミは置いといて・・・)
このアルバムには収録されていませんが、シングルには実際に元ARCH ENEMYのクリスファー・アモットが弾いているバージョンもあります。
ここまで完璧なメロデス楽曲でありながら、それでも可愛らしいYUI-METALとMOA-METALの掛け合い、そしてどこまも透き通ったSU-METALの歌声によって”BABYMETALの楽曲”へと変貌しています。


ちなみにEU盤とUS盤では次回の2ndアルバムで収録される”Road of Resistance”がボーナストラックとして収録されていますが、これについては2ndアルバム解説のときにでも。



あらゆるメタルのジャンルを取り入れながら、それでも3人の可愛さと純粋さをしっかりと貫いている本作。
彼女らの存在は誕生から常に賛否両論にさらされていますが、それでも日本のメタル系のグループでは珍しくドームやアリーナでしっかりと集客もでき、世界でも通用する存在となっていることから確実に一つの時代を切り開いています。
その最初のマイルストーンとなるのが本作となるわけです。

BABYMETAL [ BABYMETAL ]

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アルバム情報

リリース日:2014/ 2/ 26
レーベル:BMD FOX RECORDS (TOY’S FACTORY)

メンバー:
SU-METAL – ボーカル、ダンス
MOAMETAL – スクリーム、ダンス
YUIMETAL – スクリーム、ダンス

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