ANTHEMS OF REBELLION / ARCH ENEMY

レビュー

アーチ・エネミーの5枚目のアルバム。大まかな傾向は前作とあまり変わらないのだが、全体的にストレートな楽曲が多く、メロディ部分が少し後退しているような印象。おかげでシンプルかつキャッチーで聴きやすい曲が多いのが特徴。日本盤の帯にも書かれているが、アメリカ市場を十分に意識していることがわかる。




サウンド面も1stに見られたようなブルータルさはすっかりとなくなり、音の輪郭がハッキリとして、かつドライな印象。#7「EXIST TO EXIT」を聴いてもらうとよくわかると思う。曲の雰囲気だけなら今までのアルバムにもあったような、ドゥームな雰囲気の楽曲なのだが、音自体がすっきりとしているので、さほど重ったるくない。



「聴きやすくなった」と言えば聞こえはいいが、「アーチ・エネミーでやる必要があるか?」と言われれば疑問符がつくのも事実。おかげでどの曲もそれなりにかっこいいのだが、個人的にはキラーチューンと呼べる、インパクトの強い楽曲があんまりないように思う。#2「SILENT WARS」、#8「MARCHING ON A DEAD END ROAD」なんかが候補だろうが、アーチエネミーならもう一捻り欲しいところ。実際次のアルバムからは再び彼ららしい叙情性を取り戻している。




しかし流石は北欧の血が流れている彼ら、確かに「シンプル」とはいっても、完全にメロディアスが失われたわけではない、#3「WE WILL RISE」ではアモット兄弟のギターの掛け合いが堪能できるし、続く#4「DEAD EYES SEE NO FUTURE」は基本となるリフがシンプルだけれども、結構ドラマティックな盛り上がりを見せる。



あと何気にアーチ・エネミーのアルバムの中でクリーンボイスが初めて導入されている。聴けるのは#10「END OF THE LINE」、#11「DEHUMANIZATION」の2曲。しかしクリーボイスを担当しているのはアンジェラではなく、ギターのクリストファー・アモットである。





楽曲そのものはシンプルになりながらも、新たな市場獲得に向けての試行錯誤を行なっているという点では野心的な作品。



アルバム情報

リリース:2003/6/23


メンバー:
Angela Gossow – Vo.
Michael Amott – Gt.
Christopher – Amott – Gt.
Sharlee D’Angelo – Ba.
Daniel Erandsson – Dr.



収録曲:
1. TEAR DOWN THE WALLS
2. SILENT WARS
3. WE WILL RISE
4. DEAD EYES SEE NO FUTURE
5. INSTINCT
6. LEADER OF THE RATS
7. EXIST TO EXIT
8. MARCHING ON A DEAD END ROAD
9. DESPICABLE HEROES
10. END OF THE LINE
11. DEHUMANIZATION
12. ANTHEM
13. SAINTS AND SINNERS


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