レビュー
ジャーマンスラッシュ3羽カラスの一角、デストラクションの14枚目のアルバム。
本作の特徴として、これまで3人体制だったのが、ギタリストが追加で加入となり4人体制となった。それによって白熱のギターバトルや、哀愁漂うユニゾンが曲の各所で見られる。
アルバム通して「ジャーマン・スラッシュメタル」という分野をこれでもかとわかりやすく提示している。非常に重々しいサウンドによって攻撃的で、とにかく早いナンバーがほとんどを占める。ただそれだけではなく、ドイツ系バンド特有の美しいメロディが所々に散りばめられ、唯一無二の存在としている。まさにジャーマンスラッシュの教科書的1枚。
個人的には1曲目の時点でノックアウトされ、そのまま最後まで一切手加減することなく突き進むそのクオリティに魅了された、おそらく今年買ったアルバムのなかで1、2位を争う作品。
楽曲解説
1.「BORN TO PERISH」。いきなり重戦車が通るかのようなサウンドが鳴り響く。その後は非常にファストながらも、ジャーマン系バンド特有のどことなく癖のあるメロディを併せ持つ。
2.「INSPIRED BY DEATH」。1曲目よりさらにメロディアスになってはいるが、スラッシュメタル感は全く薄れていない。また曲中盤のギターバトルは新たに4人体制になった強みがよく表れている。
3.「BETRAYAL」。出だしは2曲目と同じような感じだが、所々ブレイクダウンというほどではないけれど、アクセントとしてホラーテイストなテンポダウンが入っている。
4.「ROTTEN」。ややパワーメタル っぽい。というか、同じドイツのレイジっぽさを感じる。これは偏見なのかもしれないが、いかにも「ジャーマンメタル 」っぽいと感じる曲。
5.「FILTHY WEALTH」。これまたジャーマンぽさを感じる曲。ちょっとだけパンキッシュな感じもしつつ、クラシカルなメタルの要素も強く見受けられる。
6.「BUTCHERED FOR LIFE」。クリーンギターを主体とするやや物静かな始まり。その後ギターはディストーションサウンドに変わるが、そこまでファストな印象はない。途中のギターソロも非常に哀愁漂う。
7.「TYRANTS OF THE NETHERWORLD」。出だしを含め、雰囲気としては1曲目に近い。直球のスラッシュメタルナンバー。
8.「WE BREED EVIL」。7曲目と同じく正統派スラッシュメタルナンバーだが、サビのところのわずかなユニゾンが4人体制の強みを生かしていると思う。曲の最後、終わったと思ったら突然「タタタン」と刻むパートが始まり、てっきり次の曲が始まったのかと思ったが、その後何もなかったかのように元に戻る。ややプログレッシブな曲。
9.「FATAL FLIGHT 17」。歌詞のモチーフとなったのは「マレーシア航空17便撃墜事件」であろう。ブックレットによると、この便にシューミアの友人の友人が乗っていたとのこと。楽曲自体はややNWOBHMっぽさを感じるスラッシュメタルナンバー。
10.「RATCATCHER」。オリジナルの最後を飾る楽曲だが、これまでの楽曲と変わらず、独特のメロディを含むスラッシュメタルナンバー。ちょっとラストっぽさが足りないのが、それも「らしさ」なのかもしれない
11.「FIRE DOWN UNDER」。ライオットの同名の曲のカバー。ザ・NWOBHMといった部分は変えていない、比較的原曲に忠実なカバーと思う。
アルバム情報
リリース:2019/8/9
メンバー:
SCHMIER – Ba.Vo.
MIKE – Gt.
RANDY BLACK – Dr.
DAMIR – Gt.
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(Youtubeの共有ボタンがなぜか反応しないので、また後日)
地方会社員アラサーメタラー。仕事で溜まった鬱憤をメタルに費やしております。
給料は大体メタルの音源かライブ遠征費用に消えるので、なかなか貯金ができないことが目下の悩み。
その他の趣味はバイクとゲーム(主にFPS)。
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